【仏】プロヴァンスの基本的なタプナードのレシピ




フランス南東部、プロヴァンス地方発祥として知られているオリーブペースト「タプナード」。それは英語版のWikipediaによると、古代ローマ時代には既にその原形とされるオリーブとセロリのペースト(Olivarum conditurae)が存在しており、二千年以上の時を経てもなお現代に受け継がれている歴史的なペーストのようです。

グリーンオリーブを用いたタプナードもありますが、ブラックオリーブを使用したものの方が圧倒的にポピュラーですので、今回は基本的なブラックオリーブのタプナードに絞って話を進めてゆきます。

私のフランス人の友人J氏もタプナードが好物で、オリーブの実をペティーナイフで丁寧に外して作ってくれたことがそれを知るきっかけでした。彼に勧められてタプナードをバゲットに塗って食べて以来、私もまんまとそれの虜に。ただでさえ、美味しいオリーブオイルがあればフランスパンに伸ばす手が止まらないのですから、そこにしっとりとしたオリーブの味と食感が加われば、間違いがないんです。

そんな彼がこの調理について言及していたのは「オリーブが美味しくないと駄目だ」ということ。ペースト系は旨味の強い食材や、香りの強いハーブなどを混ぜ込めば比較的ごまかしやすいと思うのですが、やはりそれでは駄目だと。ですのでオリーブも種が抜かれた状態で保存液に漬かっているものは塩辛かったり、素材本来の味が薄かったりするので不向きであり、種を一つずつ抜いてゆく必要があります。

私は未経験ですが、オリーブの種を抜く機械という便利グッズもあるようです。ナイフでいちいち実を外すのが面倒な方には重宝するかもしれません。それもいずれ試してみたいと思います。

タプナードの作り方については冒頭に掲載した映像の通りで良いかと思います。あえて言及するとしたら、オリーブオイルだけは最後に少しずつ垂らしながら撹拌した方が良いと思います。にんにくの芯を取り除くか否かについては諸説ありますが、繊維を潰しきれないと食感が悪くなる可能性があり、薄皮があったりもするので、取り除くことをお勧めします(にんにくを加熱する調理の場合も芯は焦げやすいので外した方が良いと思います)。

フードプロセッサーを回しながらオリーブオイルを少しずつ加えていきます。マヨネーズをつくるときの原理です。乳濁液における油の粒子の大きさは撹拌する力が大きいほど、小さくなります。油の粒子が小さければ小さいほど油っぽさを感じさせず、また乳化が安定します。

(中略)また使う油はピュアオリーブオイルがお勧めです。EVオリーブオイルには油の分解物が含まれており、それが分離の原因になります。また、古い油も同様に分解物が多く含まれているため避けます。

食育通信online 南仏のソース、タプナードの作り方

フードプロセッサーではなく、ジューサーで作る場合は液体量が少ないと上手く撹拌出来ないこともあるので、その場合は仕方なく、撹拌できるぎりぎりまでオリーブオイルを足してゆき、うまく回り始めたらオイルを垂らすように少しずつ加えてゆくと良いかと思います。こんな方もいるかもしれません、「そんな調理器具はいっさい持っていないけどタプナードが作りたい」。その場合は材料を包丁で細かく刻んだ後に乳鉢かすり鉢で作ることもできます。「そんな物も持っていない」という方でしたら、使用するオリーブが瓶入りの場合は、刻んだ材料をその空になった瓶に入れて適当に太い棒で潰しながら撹拌するという手がなきにしもあらずです(瓶を割らないように気を付けて下さい)。いかなる場合にせよ、オリーブオイルは最後に少しずつ加えるようにしましょう。

それでは、史上最年少(33歳)で3つ星を獲得したことでも有名なシェフ、アラン・デュカス氏のレシピを見てみましょう。

原材料 (6人分)
ニース産ブラックオリーブ 400g
ニンニク 1片
アンチョビフィレ 2枚
ケーパー 15g
オリーブオイル 200cc
レモン 1/2(任意で)

失礼のないように原文を引用しておきます

INGRÉDIENTS (6 PERSONNES)
400 g d’olives noires de Nice
1 gousse d’ail
2 filets d’anchois au sel
15 g de câpres au vinaigre
20 cl d’huile d’olive
1/2 citron (facultatif)

L'Académie du Goût TAPENADE D’OLIVES NOIRES

オリーブの重量については種を抜く前なのか否か、はっきりと明記されていなので、勝手に推測するしかありません。しかし、より正確なレシピを構築するならば種を抜いてからの重量を計量するはずであり、このレシピから種の重量を引いたら、バランス的にオイルがしつこくなるように思いますので、推測の域を出ませんが種を抜いた後の重量だと思います。

続いてHATTORI食育クラブが運営する食のウェブマガジン「食育通信online」で紹介されているタプナードのレシピは以下の通りになります

タプナード
黒オリーブ 170g
ケッパー  70g
アンチョビ 50g
オリーブオイル 大さじ3
レモン     2分の1(15cc)

食育通信online 南仏のソース、タプナードの作り方

このレシピの「黒オリーブ170g」という分量は種入りで計量されたものです。種を抜いた重量は明記されていませんでした。ですので種を抜いたら100gぐらいになると仮定し、それに対してオリーブオイルが45cc。こう考えるとアラン・デュカス氏のレシピとバランス的に近い。おもむきの違いとしては、にんにくが入らずアンチョビとケーパー(ケッパー)が強調されているところ。にんにくの香りが気になる方にむいているレシピかもしれません。

最後にフレンチ界の三ツ星シェフとして最高齢の重鎮、ポール・ボキューズ氏のタプナードレシピを見てみましょう。

種を抜いた黒オリーブ 250 g
ニンニク 2片
オイル漬けのアンチョビ 80 g
ケーパー 80 g
オリーブオイル 100cc

原文を引用しておきます

250 g d’olives noires dénoyautées
2 gousses d’ail
80 g de filets d’anchois à l’huile
80 g de câpres
10 cl d’huile d’olive

L'Académie du Goût TAPENADE

ポール・ボキューズ氏のレシピではにんにくとアンチョビ、ケーパーの分量が最も多く、レモンが入らないのが特徴です。ケーパー(ケッパー)の酸味でシャープさをかせいでいるのでしょう。美味しいアンチョビを使用しないと大変なことになりそうなレシピだと思います。

いかがでしたか。今回は最小限の食材で構築された伝統的なタプナードのレシピを厳選してご紹介しました。無駄なものが入らない分、素材の善し悪しが前に出てしまうことだけは全てのレシピに共通すると思います。「ところでフランスパン以外だったら何と相性がいいの?」と思う方がいるかもしれません。そんな方はぜひQuugleの検索窓に「タプナード」と入力して検索してみて下さい。