野生味剥き出汁!じゃがいもの味噌汁の裏技



じゃがいもの皮には野性的な芳香があります。じゃがバターの香りを思い出してみて下さい。バターの甘い香りに負けない大地の香りがそこにハッキリと浮かび上がるはずです。そのじゃがいもの皮には多くの栄養も含まれているそうです。

ジャガイモの栄養の約20%(ビタミンBやトレースミネラル)は、実は皮に含まれています。

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じゃがいもの皮には、カリウムやビタミンB3、食物繊維が豊富に含まれています。

カリウムにはナトリウムと協力して、細胞内外液の浸透圧を維持する栄養素。血圧を下げたり、むくみ解消効果が期待できます。

ビタミンB3、別名ナイアシンは人間の体内で補酵素として働く栄養素。栄養素などをエネルギーに変える働きを助けたり、細胞が生理的ストレスから回復するのにも役立ちます。肌を健康に保つ、二日酔い防止、うつにも効果があると言われています。

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栄養もさることながら、じゃがいもの皮を剥かずにそのまま味噌汁に仕上げると、香りが良く味わいに奥行きが生まれます。しかし、皮の薄い新じゃがですら皮の歯触りがほんの少しだけ気持ち悪く感じます。容易に噛み切ることはできますが、凄く薄い紙を噛んでいるような気分。そこで、香りを取るか食感を取るか、選択しなければなりません。そして欲張りな私はどちらも捨て難い。この問題を解決する凄く簡単な方法を今回は紹介したいと思います。

先に注意点として、皮が緑色に変色したじゃがいもの皮は使用しないことをお勧めします。その変色した部分と芽を取り除けば安全に食べることが出来ます。

ジャガイモの芽(芽とその芽の根元)や、光に当たって緑色になった部分には、天然毒素であるソラニンやチャコニンが多く含まれているので、これらの部分を十分取り除くことが大切です。

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まずはじゃがいもに流水を当てながら土を丁寧に手で落とします。今回は皮を使いますので芽があれば先に取り除き、ピーラーで皮を剥きます。剥いたじゃがいもを食べやすい大きさに切ったら剥いた皮と一緒にざるに入れて流水で洗い、水を切ったらそれらを鍋に入れ、蓋をして水から煮ます(水の量を控えると、出汁の量を後で調整しやすい。出汁パックや白だしを使用する場合は気にしなくて良い)。水から煮るとじゃがいもの中心部と外部の温度差を減らすことができるので、外側に余分な熱がまわり過ぎず、煮崩れしにくくなります。




じゃがいもに竹串を刺して、途中で強い抵抗を感じない具合に煮上がったら火を止め、皮だけを取り除き、出汁と味噌で割って再度火にかけて、沸騰の二歩手前で火を止めて出来上がりです。少しだけ手間がかかりますが、その少しの手間で味噌汁の味わい、香りが変わります。個人的には酸味の少ない味噌がじゃがいもの味噌汁には合うように思います。

ちなみに、この皮と一緒にじゃがいもを煮て仕上げる方法を思いついたきっかけは食育通信onlineの「究極のマッシュポテトをつくるには?」という投稿ですので、引用しておきます(文中のヘストン・ブルメンタール氏は、近代的な料理で世界的に有名なイギリスの料理人)。

〈ヘストン・ブルメンタールは牛乳にじゃがいもの皮の香りをつけることを薦めています。たしかにこの方法なら、皮の風味も活かすことができます。作り方は簡単、皮と牛乳を鍋に入れて沸かし、20分ほど香りを移すだけです。

食育通信 online 究極のマッシュポテトをつくるには?

この文章を書いている最中にふと気付きました。残留農薬を気にして野菜の皮を食べない派の人達がいることを。私は美味しければ多少のリスクは気にしない派ですので、人参や大根、ごぼう、じゃがいも等は皮も好んで食します。しかし農薬を気にする人が周りにいなくはない。そこで、農薬に関してどのような検査が実地され、どれ程の農薬が野菜に残留しているかを調べましたので、FOOCOM.NETと厚生労働省のウェブサイトから引用して終わりにしたいと思います。

日本農薬学会がまとめた「残留農薬分析 知っておきたい問答あれこれ」によると、作物の分析部位は厚生労働省告示の官報により決まっている。具体例をいくつか紹介しよう。
・ミカン:外果皮を除去したもの
・オレンジやアマナツ、ハッサクなど:皮を含めた果実全体
・ナシやリンゴ、花おち、しん及び果梗の基部を除去したもの(つまり、皮も含めて分析)
・バナナ:果柄部を除去したもの(つまり、皮も分析)
・エダマメ:花梗を除去したもの(つまり、サヤも分析)
・バレイショなどイモ類 泥を水で軽く洗い落としたもの(つまり、皮も分析)

科学的根拠に基づく食情報を提供する消費者団体 FOOCOM.NET 検査する人と食べる人、残留農薬値の意味はそれぞれ
平成 25 年度の調査において、27 の農薬等がいずれかの食品群において検出されたが、推定された平均一日摂取量(μg/人/日)の対ADI比(%)は 0.002%~ 0.29%の範囲であり、国民が一生涯に渡って毎日摂取したとしても健康に影響を生じるおそれはないものと考えられる。

厚生労働省 平成 25 年度 食品中の残留農薬等の一日摂取量調査結果